◆原作者との調整難航、人気俳優・女優の共演作が幻に

日本テレビが、来年4月期の連続ドラマの制作を中止したことが明らかになった。同局の定例社長会見で、福田博之副社長が「4月に放送するつもりで進めていた制作を中止した事実はある」と認めた。

今回中止となったドラマは、人気俳優と女優の話題の共演作で、大手出版社の人気漫画を原作として制作される予定だった。
しかし、ドラマの内容をめぐり、原作者・出版社サイドとドラマ制作側との間で調整が難航し、最終的に制作中止の決断に至ったと、民放関係者は話している。

この件に関して日本テレビは、具体的な理由は明かさなかったものの、「今までも予定していたものを変えることは編成上の問題で何度もありましたので、今回特に何かを申し上げることはない」と説明。

ただし、「『セクシー田中さん』の教訓につきましては、すでに公開させていただいているドラマの制作指針に則って適切に制作作業を行っています」と述べ、昨年10月期に放送された「セクシー田中さん」で発生した原作者とのトラブルが、今回の制作中止に影響を与えている可能性を示唆した。

◆「セクシー田中さん」問題が影を落とす

「セクシー田中さん」では、漫画の原作者・芦原妃名子さんが、ドラマ制作側との間でトラブルが発生したことをSNSで告発し、大きな話題となった。
その後、芦原さんは急逝。この事件を受け、日本テレビは原作のある作品の映像化をめぐる制作過程について見直しを行い、7月に新たな指針を発表していた。

今回のドラマ制作中止は、この「セクシー田中さん」問題が、原作のある作品の映像化において、いかに大きな影響力を持つようになったかを示す一例と言えるだろう。

◆今後の影響

今回の件は、ドラマ制作業界のみならず、エンターテイメント業界全体に大きな波紋を広げそうだ。
原作のある作品を映像化する際には、原作者との信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを図ることがますます重要になってくることが予想される。

また、視聴者も、作品の裏側にある制作過程に関心を抱くようになり、より多角的な視点から作品を評価する傾向が強まるかもしれない。