◆デビュー作の“魂”を巡る、作者と映画のせめぎ合い

第164回芥川賞を受賞した『推し、燃ゆ』の作者、宇佐見りん氏が、自身のデビュー作『かか』の実写映画化について、複雑な心境を吐露した。映画化決定の喜びとは裏腹に、原作の核となる部分の改変に苦悩し、その葛藤をSNS上で打ち明けた。

宇佐見氏は、「作者にもご理解いただいた」という言葉の裏には、製作側との間で何度も意見の食い違いがあったこと、そして自身の大切な主人公のキャラクターが損なわれることに対する深い悲しみがあったことを告白した。

◆原作と映画、それぞれの“かか”

脚本を読んだ段階では、映画化を喜んでいただけに、撮影後の変更に大きなショックを受けたという。製作側を責めることなく、映画そのものへの称賛も惜しまない一方で、「一番真ん中の筋が違う、別物なのです」と、原作との違いを明確に示した。

◆読者への呼びかけと、今後の展望

「原作も、映画も、どちらもたのしんでほしい」と呼びかける宇佐見氏だが、公開前の段階で自身の思いを率直に語ることに対する苦悩も吐露。映画公開後には、より具体的に作品について語る機会を設けたいと述べている。

「かか」という作品が、作者と読者、そして映画という異なる形で、様々な形で語り継がれていくことだろう。